インドから伝わって、シンガポールで発展した料理をご紹介。スパイシーで奥深い味わいは赤道直下にぴったり!
こんにちは、シンガポールナビです。シンガポール国民のうち、インド系の人々は9%を占めています。彼らの先祖が伝えたスパイシーなインド料理は、独自の発展を遂げてシンガポールに定着しました。今日はその中から代表的なメニューをご紹介します!
シンガポールのインド料理の特徴
インド料理といえば、まず思い浮かぶのがカレー。インドからの移民が伝えたシンガポールのカレー類は本格的で、マサラと呼ばれる様々な香辛料を混ぜ合わせたものが使われています。もともとは南インドから労働者としてやってきたタミル人が多いため、ベースになっているのは南インド料理です。その特徴は、マサラが強く効いていて香りも味も濃厚なこと。ピリ辛の度合いが高いため、あらかじめ飲み物も一緒に注文しておくのが無難です。カレーにはココナッツミルクが使われていることが多く、サラサラした食感を味わえます。
シンガポールでインド料理のお店が集中している地区は、なんと言ってもリトルインディア。しかし市中のフードコートやホーカーズにも、どこでもおいしいインド料理のストールがあり、手軽に楽しめるのが魅力です。
フィッシュヘッドカレー(Fish Head Curry)
シンガポールのインド料理の代表選手。タマリンドやカレーリーフ、クミンなどのスパイスを使ったカレースープの中に、鯛などの大きな魚の頭がごろんと入っています。もともとはインドの南部のケララ州からシンガポールに渡ってきたインド人が、1950年代に生み出したもの。魚市場で切り落とされた魚の頭が捨てられているのを見て、無駄にしないために発案した料理と言われています。
カレースープはかなりピリ辛ですが、酸味もあって食べやすい味。魚の頭と一緒によく煮込まれたオクラとナスも入っており、栄養バランスもばっちりです。頬やヒレの部分にたっぷり詰まった魚の白身はあっさりした味なので、刺激のある味のスープによく馴染みます。魚の頭の意外な食べ応えに、びっくりすること請け合いです。
豆のチップス「パパド」やご飯と一緒にいただきます。
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名店「バナナリーフ・アポロ」のフィッシュヘッド・カレー
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ムルタバ(Murtabak)
シンガポールをはじめ、東南アジアでおなじみのインド風パンケーキ。と言っても甘くはありません。小麦粉の生地を伸ばして焼いた皮の中に、タマネギを混ぜた羊や鶏のミンチ肉がたっぷり入っています。
「インド風お好み焼き」とも称されることもあり、コックさんが生地をコテでぱんぱんと叩きながら皮を作る様子は、まさにお好み焼きの様相。中身の具はピリ辛のカレー味で、タマネギの甘味が奥深さを添えています。こってりした料理なので、三、四切れも食べればお腹いっぱいになりますよ。ホーカーズやフードコートなど、シンガポール中のどこでも食べられる人気の料理です。
マトン・ムルタバにカレースープが付いたセット
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ムルタバの皮の中には、カレー味のミンチ肉がたっぷり
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ビリヤニ(Briyani)
クミン、クローブ、ナツメグなどのスパイスを入れて炊きあげる、インドの米料理。これまたシンガポールをはじめ東南アジアではおなじみの一品で、マレー系住民からは「ナシ・ビリヤニ」と呼ばれています。
香り高く炊きあげた長粒種はサラサラした食感で、思いの外さっぱりした味。マトンやチキンのカレーと一緒に食べるのが普通です。シンガポール中のホーカーズやフードコートに、この料理が食べられるストールがあり、カレーとパパド(豆のチップス)がセットになったメニューが用意されています。コクのあるカレーと、サラサラしたビリヤニの相性は抜群。軟らかく煮込まれたマトンやチキンとともに、ゆっくり召し上がれ。
ビリヤニにカレーとパパドが付いたセット・メニュー
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マトン(写真)やチキンのカレーとともに食べます。
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ロティ・プラタ(Roti Prata)
南インドで生まれたパンケーキ。カレーといっしょに食事として、小腹が空いたときのスナックとして、一日中食べられる人気メニューです。シンガポールでは「ロティ・プラタ」、マレーシアでは「ロティ・チャナイ」と呼ばれています。
表面は香ばしくてサクサク、中身はモチモチした食感で、食べ応えたっぷり。プレーンなロティ・プラタの他に、エッグ・プラタ、バナナ・プラタ、チーズ・プラタ、オニオン・プラタなど、豊富な種類が揃っているのも魅力です。丸めた生地のかたまりを鉄板に叩きつけて、ギー(インドの澄ましバター)を絡めながらロティ・プラタを焼くのは、熟練の技。チキン・カレー、マトン・カレー、ベジタブル・カレーなど、どんなカレーとも相性の良い料理です。
エッグ・プラタ。卵の風味がカレーに合います。
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エッグ・プラタをチキン・カレーに絡めて・・・
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どんなカレーが合うの?
ビリヤニやロティ・プラタは、注文するときに一緒に食べるカレーも選びます。ヒンドゥー教では牛は聖なる動物なので、日本のようなビーフ・カレーはありません。一般的にはチキンやマトンのカレーを選びます。深い味わいのえびカレーや、菜食主義の人のためのベジタブル・カレーも、ヘルシー志向の人々に人気です。
日本人の味覚に合うカレーとして、オススメしたいのはバター・チキン。これはもともと北インド料理ですが、シンガポールでも定着しています。トマトとギー(またはバター)をたっぷり入れたカレーで、まろやかで濃厚な味が魅力。酸味と甘みがあり、辛さがきつくないため、日本人の味覚にもよく合います。インド式の本格カレーに慣れていない方は、まずこのあたりから試してみて。病みつきになりますよ!
まろやかで濃厚な味わいのバター・チキン
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大きな鶏肉が入ったチキン・カレー。お肉が軟らかい!
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シンガポールに根付いて発展した、数々のインド料理。国際都市の食文化の一翼を担いながら、今日も人々に深く愛されています。シンガポールに遊びに来たら、暑さを吹き飛ばすスパイシーなインド料理を、ぜひ味わってみてくださいね。以上、シンガポールナビでした。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2013-02-13