華人たちがシンガポールに定着させた、中国由来の料理をご紹介。旅の思い出にぜひ食べてみて!
こんにちは、シンガポールナビです。シンガポール国民の75%を占めるのは、中国から移民してきた華人系の人々。必然的に、レストランやフードコートには中国から由来した料理がいっぱいです。今日はその中から、特にシンガポールに根付いて発展したメニューをご紹介します。どの料理も食べ応え抜群です!
チリクラブ(Chilli crab / 辣蟹)
シンガポールの海鮮料理の代表格。もとは1950年代に海辺の屋台を経営していた、華人系移民のチャー・ヤム・ティアンという女性の料理人が生み出したメニューです。身がよく詰まったカニに、チリとトマトをベースにしたソースをからめたもので、甘酸っぱくてピリ辛な味が特徴。プリプリしたジューシーな蟹肉に、濃厚なソースがピッタリ合います。カニの殻割り器を用いて、パチンパチンと身を取り出しながら食べますが、手が汚れるのでテーブルに用意されているウェット・ティッシュを使いましょう。カニを食べた後に残ったチリソースは、中国風のもちもちしたパン(Bun=バン)でお皿をぬぐうようにして、最後までしっかり味わってくださいね。
濃厚なソースがジューシーな蟹肉によく合うチリ・クラブ
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ちょっとピリ辛なソースは白いパンに浸して食べます。
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チキンライス(Hainanese chicken rice / 海南鶏飯)
シンガポールの国民的メニュー。日本で連想される「細切れの鶏肉を、トマトケチャップで味付けしたごはんに混ぜたもの」ではありません。シンガポールのチキンライスは、やわらかく茹でたジューシーな鶏肉と、その鶏のスープに生姜とニンニクを効かせたもので炊いた、あっさりしたうま味のごはんのセットです。1950年代前後に中国の海南地方出身の華人たちが持ち込んだ料理と言われており、漢字名は「海南鶏飯」と書きます。
チキンライスには、鶏肉を茹でた際に採れる、鶏のスープも付いてきます。チリソースの小皿も添えられており、少しずつチキンに付けて食べると、ピリ辛で奥の深い味になります。チキンライス専門のレストランから、ホーカーズやフードコートまで、どこでも食べられる人気料理です。
フードコートのチキンライス・セット。他にスープもあり。
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名店「文東記」のチキンライス。ごはんがピラミッド型。
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フィッシュボール・ミー(Fish Ball Mee / 魚圓面)
シンガポーリアンが好む、魚のお団子が入った麺料理。中国の潮洲から伝わったものです。華人系の人々はフィッシュボールのプリプリした食感が大好きで、スーパーマーケットの加工食品のコーナーに行くと、目を見張るほどたくさんの種類のフィッシュボールが売られています。この料理は平たい麺の「ミーポッ」や黄色い生麺の「ミーキア」などとともに、フィッシュボールの食感を味わうもの。スープ麺とドライ麺の2種類がありますが、魚の出汁がよく効いたスープとともにフィッシュボールの弾力を味わうのをオススメします。お団子はたっぷり入っているので、全部食べるとお腹いっぱいになりますよ!
プリプリした食感を味わうフィッシュボール・ミー
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スーパーにずらりと並ぶフィッシュボール
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スチーム・フィッシュヘッド(Steamed fish head / 蒸魚頭、松魚頭)
ガイドブックによく載っている「魚の頭を使ったシンガポールの名物料理」といえば、フィッシュヘッド・カレーが有名。でも華人系シンガポーリアンが好むのは、中華味のスチーム・フィッシュヘッドです! タラなどの巨大な魚の頭が、ニンニクや唐辛子で味付けされたソースの中に横たわっている様子は、迫力満点。頭頂部や頬の部分をほじくると、まろやかなゼリー状のお肉がどんどん出てきます。「魚の頭には、こんなにたくさん食べるところがあるのか・・・」と驚くこと請け合い。ソースは一見濃いように見えますが、意外にもさっぱりした味わいで、いくらでも箸が進みます。ぜひチャイナタウンで試してみてください。
迫力満点のスチーム・フィッシュヘッド
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チャイナタウンのホーカーズでは名物料理のひとつ
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バクテー(Bak kut teh / 肉骨茶)
チキンライスと並ぶシンガポールの国民的メニュー。中国の福建出身の華人たちが伝えた料理と言われています。「肉骨茶」という迫力のある漢字名を持っており、見た目もダイナミック。豚肉のスペアリブをニンニクやスパイスとともに煮込んでおり、太い骨からホロホロくずれ落ちるお肉をスープとともに味わいます。少し強めに効かせた胡椒がポイントです。
バクテーは白いご飯にうま味のあるスープをかけたり、「ヨウティヤオ」と呼ばれる中国風の揚げパンにスープを浸したりしながら食べます。バクテー専門店ではスープのお代わりが自由なお店が多く、お店の人に手を挙げて頼めば注ぎ足してくれますよ。ニンニクのにおいに誘われて、つい何杯もお代わりしてしまいます。
バクテーのスープを揚げパンやご飯に浸して食べます。
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バレスティア・バクテーのセットメニュー
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ヨンタオフー(Yong Tau Foo / 醸豆腐)
お昼休みなど、食事どきには行列ができる人気の客家料理。魚のすり身を挟んだ豆腐やフィッシュボールなどの練り物、揚げ豆腐や野菜など、店頭のケースに並んだ具を好きなだけお椀に入れて、お店の人に湯がいてもらいます。日本のおでんによく似ていますが、ヨンタオフーはスープの中に麺も入れて食べるのが一般的。選んだ具の数によって、お値段が変わります。
出汁の効いたスープはさっぱりした味で、日本人の味覚にもよく合います。フードコートやホーカーズの料理は野菜が不足しがちですが、ヨンタオフーには野菜の具が豊富に用意されていることも魅力。野菜の中にすり身を挟んだものもあり、彩りもきれいです。
麺を入れて食べるおでんのようなヨンタオフー
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豊富な具。野菜の中にすり身を挟んだものもあります。
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フライド・ホッケン・ミー (Fried Hokkien mee / 炒福建面)
最近日本でも表参道に専門店ができた、シンガポールの代表的ローカルフード。福建地方の人々が伝えた海鮮焼きそばで、漢字では「炒福建面」と書きます。シンガポール料理の中でも日本人の味覚に最もマッチすると言われ、日本で人気が出たのも頷けます。エビやイカやモヤシなどの具とともに、麺を塩味のダシで炒めており、あっさりしたおいしさが人気。麺は黄色の太麺(ホッケン・ミー)とビーフンを合わせたものが使われています。
フライド・ホッケン・ミーを頼むと、大抵ライムとチリサンバルが付いてきます。さっぱり味の麺の上にライムをしぼり、少しずつチリサンバルを混ぜながら食べると、ほどよく刺激的で奥の深い味になります。試してみて。
さっぱりした塩味が魅力のフライド・ホッケン・ミー
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麺の中からプリプリしたエビが出てきます。
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ワンタン・ミー(Wantan Mee / 雲呑面)
ワンタンとチャーシューを添えた麺料理。もとは広東から伝わったものですが、シンガポールやマレーシアでは独自の発展を遂げています。ワンタンよりもチャーシューの分量が多く、麺をスープに入れないドライタイプのものが中心になっているのです。この料理の主役はあくまでもチャーシューで、こんがり焼いた甘みのあるお肉を、ソースに絡めた麺とともに味わいます。スープは別のお椀で付いてくることが多く、ワンタンは麺の上に添えられているか、スープの中に入っているかのどちらかです。麺の上には茹でた青菜も乗っていて、栄養バランスもばっちり。チリソースを少しずつ混ぜながら、噛み応えのあるチャーシューと、やわらかいワンタンと、麺のハーモニーをお楽しみください。
こちらはワンタンが麺に載ったタイプのワンタン・ミー
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スープは麺のお皿とは別に付いてきます。
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バン・ミェン(Ban Mian / 板面)
客家出身の人々が伝えた麺料理で、「バン・ミー(Ban Mee)」とも呼ばれます。出汁の効いたスープに平たい手打ちの麺が入っており、麺の上にはイカンビリス(イワシの煮干しを揚げたもの)がどっさり載っています。コシのある麺にカリカリした煮干しの食感がよく合い、スープにイワシのうま味が染み渡るとますます旨味が増します。さっぱりした味のスープは日本人の味覚にもぴったり。麺といっしょにポークミンチや卵、青菜やシイタケなどの具もどっさり入っており、食べ応えも十分です。さらにトム・ヤム味のバンミーや、餃子入りバンミー、エビ入りバンミーなどたくさんのバリエーションがあることも魅力。お好みのものをどうぞ。
きしめんに似た麺入りの料理、バン・ミェン
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麺の上にどっさり載ったイカンビリスが味を深めます。
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中国各地から由来し、独自の発展を遂げて根付いたシンガポールの中華料理。多彩なラインナップの中から、旅行の思い出にぜひいくつか味わってみてくださいね。以上、シンガポールナビでした。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2012-12-12