「ガーデンシティ」シンガポールを彩る植物の謎

国全体が公園のように美しいシンガポール。トロピカルな樹木や花は必見です!

こんにちは、シンガポールナビです。今日は赤道直下の国・シンガポールで見られる、多彩な植物についてご紹介します。

1. 巨大な街路樹は何の木? 気になる木!

シンガポールを初めて訪れる人々が、一様にびっくりするもの。それは、チャンギ空港からイーストコーストのハイウェイに出たとたん、目に入る両脇の街路樹です。木の一本一本が、日本では考えられないほどデッカイ! 鬱蒼と茂る葉は美しく刈り込まれて、まるで緑のトンネルのようになっています。
この街路樹は、主に「レインツリー」と言われる種類の木です。「このー木なんの木気になる木♪」のCMに出てくる木、といえばわかりますでしょうか? シンガポールのレインツリーは、まめに下枝を掃われているので、あのようなキノコ状の形にはなりません。が、樹高20~30mくらいまで育つことについては、CMのあの木と同様です。
マメ科の木独特の、鳥の羽のような葉っぱは、シンガポールの大通りを暑い日差しを遮ってくれます。葉が密集して茂っているので、スコールのときにこの街路樹の下にいれば、傘やアーケードの代わりになるくらいです。
イーストコーストのハイウェイを覆うレインツリー

イーストコーストのハイウェイを覆うレインツリー

よく茂ったレインツリーが続くオーチャード・ロード

よく茂ったレインツリーが続くオーチャード・ロード

年月を感じさせるレインツリーの根元

年月を感じさせるレインツリーの根元

街路樹のヤシの木も大きく育ちます

街路樹のヤシの木も大きく育ちます

2.ガーデンシティの花は、意外な場所にも咲いています

オーチャード・ロードに沿って伸びるグランドカバー

オーチャード・ロードに沿って伸びるグランドカバー

シンガポールの町中は、青々と茂る街路樹とともに、どこでも美しく手入れされた熱帯の花が咲いています。国家戦略として長い年月をかけて緑化政策を行っており、その維持と管理にも多大な予算と労力が注ぎ込まれているのです。「ガーデンシティ」と言う名前で親しまれている所以です。
大通りの両脇には「グランドカバー」と呼ばれる緑で覆われたスペースが伸びています。これらは国民や観光客の目を楽しませると同時に、熱帯の大都会・シンガポールの気温を下げ、快適な環境を作り出すことにも役立っています。ガラスとコンクリートのビルディングと、緑のベルトの調和が見事なのです。
このグランドカバーのスペースでよく見られる花は、黄色やオレンジの「ヘリコニア」。まるで小さなバナナが密集して生えているような愛らしい姿です。「オウムバナ」とも呼ばれています。
小さなバナナがなっているように見えるヘリコニア

小さなバナナがなっているように見えるヘリコニア

オレンジ色のヘリコニアもあります

オレンジ色のヘリコニアもあります

さらに、目線を上げたときにも、意外な場所で花が咲いているのを見ることができます。シンガポールには四車線以上の道路が多いため、歩道橋があちこちに建っています。その橋全体にブーゲンビリアの花が咲かせてあるのです! ショッキングピンクの花で埋め尽くされた歩道橋は、渋滞時にもドライバーの心を和ませてくれます。
また、背の高い街路樹を見上げると、実はてっぺんに見事な花をつけているのが目に入ってくることもあります。レインツリーと同じマメ科の「黄炎木(英名:yellow flame)」という木は、乾季が始まるとそのてっぺんに、鮮やかな黄色の花を咲かせます。が、あまりに樹高が高すぎるので、なかなかその開花に気がつくことがありません。こんもりした葉っぱに遮られて、木の上部にまでは視線が届かないんですよねぇ。
シンガポールのお買い物や観光の合間には、ちょっと足を止めて上を見上げてみてください。意外な花の美しさにハッとなるかも知れません。
歩道橋に咲いているブーゲンビリアの花

歩道橋に咲いているブーゲンビリアの花

樹高の高い街路樹「黄炎木」のてっぺんに咲く黄色い花

樹高の高い街路樹「黄炎木」のてっぺんに咲く黄色い花

3.シンガポールの木の股にワサワサ生えている、巨大なヤシの葉のようなものの正体は?

シンガポールの街路樹や公園の木を眺めていると、木の股から巨大なヤシの葉のようなものが、モシャモシャ生えていることに気が付きます。明らかに本体の木とは違う種類の葉っぱなので、「なんでこんなところからヤシの木が出てくるの?」と疑問に思う人も多いことでしょう。
実はこの扇状に広がった葉の正体は、ヤシではなくて、シダ植物です。「birds-nest fern(鳥の巣のシダ)」という名前で知られています。確かに、鳥が木の上に巣を作ったような形にも思えます。しかし直径2~3mはあるんじゃないかという「鳥の巣のシダ」もしばしば見られるので、そんなときは「コレはもう鳥の巣じゃなくて、プテラノドンの巣でしょ!」と突っ込みたくなります。こんな巨大なものを乗っけている木は、さぞや重たいことでしょうね。
このシダは、木に寄生して養分を吸っているのではなく、他の木の上に根を張って生活する「着生植物」です。上から落ちてくる木の葉を、自分の大きな葉で受け止めて、腐敗させて養分に変えられるんですって! 鳥の巣状の葉の下には、枯れた葉っぱをぶら下げていますが、これも最後にはムダなく養分に変えてしまうんだそうです。まるで自然界のコンポストマシンですね。この「鳥の巣のシダ」は、町中のグランドカバーとして植えられていることもあります。
街路樹の木の股には、しばしばヤシの葉のようなものが…

街路樹の木の股には、しばしばヤシの葉のようなものが…

bird's-nest fern(鳥の巣のシダ)がワサワサ生えた木

bird's-nest fern(鳥の巣のシダ)がワサワサ生えた木

4.シンガポールの国花「バンダ・ミス・ジョアキム」はどこに行けば見られるの?

ホテルのロビーに飾られた蘭のディスプレイ

ホテルのロビーに飾られた蘭のディスプレイ

シンガポールの空港に降りた途端、目に入ってくるのは、鮮やかな蘭の花のディスプレイです。市中のホテルやショッピングセンターにも、様々な種類の蘭が飾られており、南国ムードを盛り上げています。
シンガポールの国花「バンダ・ミス・ジョアキム」は、「バンダ・ホケリアナ」と「バンダ・テレス」という、二種類の蘭が自然交配して生まれた蘭です。1893年にアグネス・ジョアキムという女性の庭で発見されたことから、この名前が付けられました。
このバンダ・ミス・ジョアキムは、ボタニック・ガーデンの中にある「ナショナル・オーキッド・ガーデン」で見ることができます。中央部にある滝の付近と、最奥部にあるオーキダリウム(原種の蘭の展示スペース)の近くで、可憐な花を咲かせています。藤色の花弁が、何とも繊細で印象的! ぜひ探してみてください。
ナショナル・オーキッド・ガーデンの入口

ナショナル・オーキッド・ガーデンの入口

藤色の花びらが美しいバンダ・ミス・ジョアキム

藤色の花びらが美しいバンダ・ミス・ジョアキム


国全体がオアシスのようなシンガポールには、他にもまだまだステキな植物がいっぱい。常夏の国は、いつでも鮮やかな花を咲かせて、海外からのお客様を待っています。ぜひ遊びに来てくださいね。以上、シンガポールナビでした。


関連タグ:トロピカルガーデンシティ

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記事登録日:2010-05-22

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