プラナカン建築物を見て歩くモデルプラン

シンガポールに残る華やかな伝統建築を訪ねてみよう!

こんにちは、シンガポールナビです。摩天楼が林立する近代都市のシンガポールですが、実は市中には「プラナカン様式」といわれる伝統的な建築群が残っています。今日はそんなプラナカン建築を訪ねて歩くモデルプランをご紹介しましょう。

そもそもプラナカン建築ってどんなもの?

15世紀後半からマレーシアやシンガポールにやってきた、中国系移民の子孫のことを「プラナカン」と呼びます。彼らは現地の女性と結婚し、元来の中国の文化にマレーの文化とヨーロッパの文化をミックスさせた、独自の生活スタイルを築きあげました。プラナカンの建築物は、一階が店舗や事務所、二階が住居になっていて、「ショップハウス」と呼ばれています(純粋に住居としているものは「テラスハウス」とも呼ばれます)。外壁は明るいパステルカラーで、間口が狭くて奥行きの深い造りが特徴。数件が繋がった状態で建てられ、玄関前の通路はアーケード状になっています。ネオ・ゴシック様式やバロック様式などの西洋のスタイルが取り込まれた建物は、よろい窓や瀟洒なレリーフで彩られており、たいへん華やか。写真映えのする建築群です。
間口が狭くて奥行きの深い構造

間口が狭くて奥行きの深い構造

アーケード状になった玄関前の通路

アーケード状になった玄関前の通路

花模様のレリーフで彩られた壁面

花模様のレリーフで彩られた壁面

ジョー・チアット・ロード周辺のプラナカン建築群

->カトン地区(パヤ・レバ駅)
まずはシンガポールの代表的なプラナカン建築群が集まる、カトン地区に行ってみましょう。MRTパヤ・レバ駅から徒歩で約10分、市中心部からはタクシーで20分ほどのところにある、「ジョー・チアット・ロード」の周辺に、パステルカラーのプラナカン建築群が集中しています。特に美しいプラナカン建築物が並んでいるのは、ジョー・チアット・ロードの北端から南へ15分ほど歩いたところ。クーン・セン・ロードと交わる部分には、凝ったファサードが印象的な、サーモンピンクの建物があります。そこからクーン・セン・ロードに入ると、色とりどりのお菓子の家のようなショップハウス群が。よろい窓の周囲を飾る花模様のレリーフ、レースのような軒下飾りなど、細かく観察しているとつい時間が経つのを忘れてしまうほどです。
ファサードが印象的なこの建物は、レストラン「大吃の喜」

ファサードが印象的なこの建物は、レストラン「大吃の喜」

クーン・セン・ロードの華やかなプラナカン建築群

クーン・セン・ロードの華やかなプラナカン建築群

パステルカラーの門扉も凝っています。

パステルカラーの門扉も凝っています。

よろい窓を彩るレリーフの細かさに驚嘆

よろい窓を彩るレリーフの細かさに驚嘆

カトン地区でプラナカン建築群を堪能した後は、プラナカン料理でランチはいかが? ジョー・チアット・プレイスには、プラナカン料理の老舗レストラン「チリ・パディ」があります。豊富な食材やスパイスを駆使して作られたプラナカン料理は、奥深い味わい。タルトのような器に根菜やエビなどを詰めた「クエ・パイティ」や、卵入りの薄皮で巻かれた生春巻き「ポピア」は、外観もプラナカン建築のような愛らしさです。ぜひ味わってみてください。
レストラン「チリ・パディ」

レストラン「チリ・パディ」

ショップハウスの一角にあります。

ショップハウスの一角にあります。

見た目も愛らしいクエ・パイティ

見た目も愛らしいクエ・パイティ

チャイナタウン近くのプラナカン建築が集中するエリアへ。ニール・ロード周辺

パヤ・レバ駅->アウトラム・パーク駅(16分)
カトン地区のプラナカン建築を見た後は、MRTパヤ・レバ駅からイースト・ウエスト線に乗って、アウトラム・パーク駅へ移動しましょう。チャイナタウンにほど近いこの地域は、裕福なプラナカンたちが多く住んでいた場所。そのため、ひときわ見事な装飾の建物がたくさん残っています。まずはニール・ロード沿いに並ぶ、重厚な建物を見てみましょう。この通りのプラナカン建築は、西洋建築の要素が取り込まれているだけでなく、中国風の装飾の屋根瓦や、中文の扁額で彩られているものが多いのが特徴。中国風の彫りが施された、凝った門扉を持つ建物もあります。半円アーチを描く西洋風の窓との、ミスマッチが面白いのです。ニール・ロードから一本入ったところにあるエヴァートン・ロードにも、美しいプラナカン建築が並んでいます。
重厚なプラナカン建築が並ぶニール・ロード

重厚なプラナカン建築が並ぶニール・ロード

真ん中は中国風の瓦屋根と扁額で飾られた「ババ・ハウス」

真ん中は中国風の瓦屋根と扁額で飾られた「ババ・ハウス」

中国風の精緻な彫りが施された、ニール・ロードの建物の門

中国風の精緻な彫りが施された、ニール・ロードの建物の門

瀟洒なプラナカン建築が並ぶエヴァートン・ロード

瀟洒なプラナカン建築が並ぶエヴァートン・ロード

繊細な花の装飾に釘付け。ブレア・ロードのプラナカン建築群

ニール・ロードの南にはブレア・ロードが伸びています。この道の両端に並ぶプラナカン建築はひときわ華やか。ピンク、クリームイエロー、水色、ペパーミントグリーンなどのパステルカラーの建物は、全体が花や蔓草模様の装飾で覆われており、まるで宝石箱のようです。特に繊細なのは玄関の装飾。隣の家々と繋がっている床や、扉の両横の窓の下には、花や幾何学模様の繊細なタイルが貼られています。玄関の扉の前には「ピントゥー・パガー」というスイング・ドアが取り付けられており、童話の家のような雰囲気。愛らしくフェミニンな装飾を好んだ、プラナカンの感性がよく表れている建築群です。
外壁の蔓草模様が繊細なブレア・ロードのプラナカン建築群

外壁の蔓草模様が繊細なブレア・ロードのプラナカン建築群

窓の上を彩る、透かし彫りの装飾の細かさに感嘆

窓の上を彩る、透かし彫りの装飾の細かさに感嘆

華やかなタイルで装飾された玄関部分

華やかなタイルで装飾された玄関部分

玄関扉の前のスイング・ドア

玄関扉の前のスイング・ドア

カラフルな家々が繋がる玄関前の通路

カラフルな家々が繋がる玄関前の通路

ショッピングの合間に見られるエメラルド・ヒルのプラナカン建築群

アウトラム・パーク駅->サマセット駅(15分)
ブレア・ロードを見た後は、MRTアウトラム・パーク駅からノース・ウエスト線に乗って、次の目的地のエメラルド・ヒルに移動しましょう。途中、ドービー・ゴート駅でノース・サウス線に乗り換え、サマセット駅で下車。ショッピング客で賑わうオーチャード・ロードを渡ってエメラルド・ヒルの小道へ入ると、そこは別世界。背の高い椰子の木と、パステルカラーのプラナカン建築が並ぶ、おだやかな光景が広がっています。この近辺にも裕福なプラナカンたちが多く住んでいたため、三階建ての壮麗な建物も数多く並んでいるのが特徴。これらのテラスハウスの装飾はひときわゴージャスで、宮殿と見まごうばかりです。エメラルド・ヒルのショップハウスにはバーとして使われている建物もあるので、プラナカン建築めぐりで疲れた足を休めて、喉を潤すのもオススメです。
エメラルド・ヒルのプラナカン建築群

エメラルド・ヒルのプラナカン建築群

三階建ての豪華なプラナカン建築も並んでいます。

三階建ての豪華なプラナカン建築も並んでいます。

中国語とスイングドアの装飾が面白い。

中国語とスイングドアの装飾が面白い。

三階建ての建物の窓を彩る華麗な装飾

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市中心部にあるエメラルド・ヒル

市中心部にあるエメラルド・ヒル


お伽噺の建物のように華やかなプラナカン建築ですが、これらのショップハウスやテラスハウスには、現在も住んでいる方がいます。散策や写真撮影の際には、どうぞご配慮をお忘れなく。以上、シンガポールナビでした。
関連タグ:観光プラナカン街歩き

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-05-10

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エメラルド・ヒル

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