スリ・スリニヴァサ・ペルマル寺院

スリ・スリニヴァサ・ペルマル・テンプルSri Srinivasa Perumal Temple

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重要記念建築物に指定されたヒンズー寺院。広々とした寺院内で座って見上げるだけで、色とりどりの像が楽しめます。

こんにちは、シンガポールナビです。今日はリトルインディアにある壮麗なヒンドゥー教寺院、スリ・スリニヴァサ・ペルマル寺院をご紹介します。ファーラー・パーク駅にほど近いこの寺院はヒンドゥー教の3最高神の1人、ヴィシュヌを祀ったもの。世界を維持する力を持つヴィシュヌは、さまざまな姿をした10の化身を持っています。この化身たちの彫像が、独特でとっても面白い! 9層からなる高い塔門や壁の上、祭壇のレリーフなどに、色鮮やかな彼らの姿を見ることができます。広々とした荘厳な寺院で、ヴィシュヌたちが織りなす壮大なインド神話の世界に触れてみませんか? チェックすべき見どころをナビがくわしくお伝えします!

U字型のマークはヴィシュヌを祀る印

ファーラー・パーク駅から北東に向かって3分ほど歩くと、スリ・スリニヴァサ・ペルマル寺院のゴープラム(塔門)が見えてきます。ここは南インドのドラヴィダ様式の寺院で、塔門や壁の上には極彩色に塗られた神々の彫像でいっぱい。ゴープラムの右手には寺院の名前が書かれた看板があり、上部にはヴィシュヌ神を祀った寺院であることを表すU字型のマークと、彼の持ち物である法螺貝と円盤(チャクラ)のレリーフが付いています。2頭のゾウに囲まれた入口の両脇には、祈祷や見学に訪れた人々の靴が並んでいます。寺院内は土足厳禁なので、入場する前にはここで靴を脱ぐことをお忘れなく。
青空に映えているゴープラム

青空に映えているゴープラム

看板にはU字のマークや法螺貝が…

看板にはU字のマークや法螺貝が…

入口の脇に脱いだ靴を並べます。

入口の脇に脱いだ靴を並べます。

ゴープラムの左の壁には、ヴィシュヌの10の化身が大集合!

寺院の内部に入る前に、ゴープラムの左の壁の上に注目して見てください。この寺院の主神であるヴィシュヌと、彼の10の化身たちの彫像がずらりと並んでいます。まず右手でとぐろを巻いた蛇(アナンタ蛇王)の上でくつろいでいるのが、ヴィシュヌ神。ちょっとビックリするような光景ですが、「この世はヴィシュヌの夢に過ぎず、ビシュヌが目覚めれば一瞬で消えてしまう」ということを表しています。ヴィシュヌの額にはU型のマークがあり、手には法螺貝や円盤や棍棒を持っているのが特徴。ヴィシュヌがこの法螺貝を吹き鳴らすと、悪魔が震え上がるといわれています。寺院内部の至るところにも、U字と法螺貝と円盤のモチーフが刻まれているんですよ。
塔門の左の壁の上に並ぶヴィシュヌとその化身たちの彫像

塔門の左の壁の上に並ぶヴィシュヌとその化身たちの彫像

とぐろを巻いた蛇の上でくつろいでいるヴィシュヌ神

とぐろを巻いた蛇の上でくつろいでいるヴィシュヌ神

ヴィシュヌの左側には「アヴァターラ」と呼ばれる彼の化身たちが並んでいます。Web上で利用されるキャラクターの「アバター」は、実はこれが語源。右側から順番に、ひとつひとつの化身たちの彫像を見ていきましょう。すべての化身の額に、ヴィシュヌに属する者であることを意味するU字型のマークが入っていることにも注目です。

1. マツヤ-巨大な魚。大洪水を預言し、船にあらゆる種子と生き物と聖仙を乗せるように忠告しました(「ノアの方舟」に似ていますね)。
2.  クールマ-巨大な亀。神々が不死の霊液「アムリタ」を海から取り出そうとした際に活躍しました。
3. ヴァラーハ-巨大な猪。大地が海の底に沈んだ際に、牙にひっかけてその大地を持ち上げました。
4. ナラシンハ-頭部がライオンで体は人間。魔神にも人間にも獣にも殺すことのできない「ヒラニヤカシプ」が世界を征服したときに、神でも人でも獣でもないナラシンハが彼を倒しました。
5. ヴァーマナ-修行僧の小人。魔族の王バリに「3歩で歩けるだけの土地」をもらう約束をし、望みが叶えられることになった途端、巨人になって世界を3歩で歩いてみせました。
6. パラシュラーマ-斧の達人。斧で貴族・武人階級のクシャトリアを一掃しました。バラモンとクシャトリアの対立を反映した伝説と言われています。
7. ラーマ-叙事詩「ラーマーヤナ」の主人公で、弓の名手。さらわれた妻を取り戻すために魔王ラーヴァナを倒しました。
8. バララーマ-クリシュナ(「9」を参照)の兄。叙事詩「マハーバーラタ」ではさらわれたクリシュナの息子を助けました。
9. クリシュナ-「マハーバーラタ」の主人公で、笛の達人の美青年。武芸に秀でた英雄で女性にモテモテ。とても人気のある神様です。
10. カルキ-馬頭の巨人。世界が終わるときに現れて、悪を絶滅するという役割を持っています。
右から魚のマツヤ、亀のクールマ、猪のヴァラーハ、<br>半人半獅子のナラシンハ、小人のヴァーマナ。

右から魚のマツヤ、亀のクールマ、猪のヴァラーハ、
半人半獅子のナラシンハ、小人のヴァーマナ。

右から斧を持つパラシュラーマ、弓を持つラーマ、<br>バララーマ、クリシュナ、馬頭のカルキ。

右から斧を持つパラシュラーマ、弓を持つラーマ、
バララーマ、クリシュナ、馬頭のカルキ。

極彩色の寺院の中へ。柱のレリーフにも注目!

ヴィシュヌの10の化身を見たら、靴を脱いで寺院の中へ入ってみましょう。開け放たれた飴色の木の扉にはベルが付いていて、信者は手で「チリン」という音を立ててから内部へ足を踏み入れています。たくさんの柱が並ぶ祈祷の広間には、極彩色の神々の彫像がいっぱい。まず天井付近の壇の上から、ヴィシュヌやクリシュナの彫像が見下ろしているのが目に入ります。さらに入口付近の柱をよく見ると、ひとつひとつにガルーダやラクシュミー、ハヌマーンやサラスヴァティーといった色鮮やかな神々のレリーフが刻まれているのがわかります。広間を奥へ進んで祭壇の方まで行くと、ヴィシュヌを象徴する法螺貝や円盤、蛇などのモチーフが刻まれた柱もありますよ。隅から隅まで意味を持った装飾にあふれている寺院です。
ベルが付いた飴色の木の扉。チリンと涼やかな音がします。

ベルが付いた飴色の木の扉。チリンと涼やかな音がします。

華麗な装飾の柱が並ぶ寺院内部。神々の彫像がいっぱい。

華麗な装飾の柱が並ぶ寺院内部。神々の彫像がいっぱい。

柱のガルーダ(上)とラクシュミー

柱のガルーダ(上)とラクシュミー

ハヌマーン(上)とサラスヴァティー

ハヌマーン(上)とサラスヴァティー

法螺貝とヘビが刻まれた祭壇裏手の柱

法螺貝とヘビが刻まれた祭壇裏手の柱

ヴィシュヌを祀る正面の祭壇。右側の壁には10の化身たちのレリーフも。

祈祷の広間の正面にあるきらびやかな祭壇には、ヴィシュヌが祀られています。正面の壁の上部を見ると、とぐろを巻いた蛇の上で優雅に寝ているヴィシュヌのレリーフをみつけることができます。さらに向かって右側にある天井付近の壁には、ヴィシュヌの10の化身のレリーフがずらりと並んでいます。小さめのレリーフのため、ちょっとデフォルメ化された魚や亀の化身たちが、微笑ましくてかわいいんですよ。誰がどの化身に当たるか、確かめてみてください。
寺院の奥にあるきらびやかな祭壇

寺院の奥にあるきらびやかな祭壇

ヘビの上で優雅に寝るヴィシュヌ像

ヘビの上で優雅に寝るヴィシュヌ像

右の壁にあるヴィシュヌの10の化身

右の壁にあるヴィシュヌの10の化身

正面祭壇では「プジャ」と言われる祈りの儀式に遭遇することもあります。上半身裸の僧侶たちが祭壇の奥にいるヴィシュヌ像に祈りを捧げ、信者たちも熱心に手を合わせて祈っています。首の長いラッパの音を高らかに響かせ、銅鑼や太鼓が鳴る中で行われる儀式は何とも荘厳。祈祷の時間に寺院を訪れたら、信者たちの邪魔にならないように、祭壇の手すりの外からじっくりとご覧ください。
祭壇の右手で太鼓を叩く奏者

祭壇の右手で太鼓を叩く奏者

ヴィシュヌの祭壇に祈りを捧げる僧侶

ヴィシュヌの祭壇に祈りを捧げる僧侶

首の長いラッパが高らかに響きます。

首の長いラッパが高らかに響きます。

ヴィシュヌと関係が深い他の神様のお堂もチェック

ヴィシュヌを主神とするこの寺院には、ヴィシュヌと関係が深い、他の神様を祀るお堂も建っています。まず入口を入ってすぐ右手にあるのがハヌマーンを祀るお堂。叙事詩「ラーマーヤナ」で活躍した、強い戦士のサルです。ヴィシュヌ神の化身であるラーマ王子を助けて、魔王ラーヴァナと戦った半獣神。お堂の屋根には手を合わせて空を見上げるハヌマーン像が、内部にはお供えの花に飾られた黒いハヌマーン像があります。どちらも額にヴィシュヌ神に属することを意味するU字型マークがあるのでご注目。特にお堂の内部のハヌマーン像は、スワロフスキーのデコシールのようにキラキラ光るU字マークが印象的です。
入口の右手にあるハヌマーンのお堂

入口の右手にあるハヌマーンのお堂

お堂の屋根にいるハヌマーン像

お堂の屋根にいるハヌマーン像

お堂の内部に祀られたハヌマーン像

お堂の内部に祀られたハヌマーン像

寺院の正面奥にあるヴィシュヌの祭壇の左隣りには、女神ラクシュミーを祀るお堂があります。美と富と幸福を司るラクシュミーはヴィシュヌ神の妻。蓮の花の上に座り、両手にも蓮の花を持った絶世の美女として知られています。何しろ富と幸せを一手に引き受ける美人の女神様なので、たいへんな人気。このお堂の前にも、ラクシュミーに祈りを捧げる熱心な信者たちがいつも並んでいます。
ラクシュミーを祀るお堂。祈りを捧げる人々が並びます。

ラクシュミーを祀るお堂。祈りを捧げる人々が並びます。

お堂の屋根の上で蓮の花に座っている女神ラクシュミー像

お堂の屋根の上で蓮の花に座っている女神ラクシュミー像


広い敷地を持つスリ・スリニヴァサ・ペルマル寺院では、ゆったりとした気分でインドの神様たちの世界を見て周ることができます。ただし見学時間は午前中と夕方から夜までの二部に分かれていて、昼間は閉門されているので要注意。スケジュールを調整して訪れてみてくださいね。以上、シンガポールナビでした。
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記事登録日:2011-11-10

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スポット登録日:2010-08-15

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