スリ・ヴィラマカリアマン寺院

Sri Veeramakaliamman Temple

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リトルインディアの中心的存在のヒンズー教寺院。観光客も自由に入ることができます。

こんにちは、シンガポールナビです。今日はリトルインディアの中でも特に有名なヒンドゥー教寺院、スリ・ヴィラマカリアマン寺院をご紹介します。いつも大賑わいのセラングーン・ロードに面して立つこの寺院は、「女神カーリー」を祀ったもの。なんと、殺戮と破壊を象徴するというコワーイ女神様ですが、悪鬼を滅ぼすほどの圧倒的な強さが人々の信仰の対象となっています。寺院の塔門や屋根の上には、鮮やかなインド神話の神様たちの彫像でいっぱい。ひとつひとつ見ていくと、日が暮れそうになるほどの迫力です。女神カーリー像や彼女をとりまく神様たちを、じっくり探してみませんか?

靴を脱いで寺院の中へ。開門時間に気をつけて!

空に向かってゴープラム(塔門)がそびえるスリ・ヴィラマカリアマン寺院は、極彩色に塗られた南インドのドラヴィダ様式。神々の彫像でいっぱいの塔門をくぐると、右手に靴箱が置かれています。寺院内部は土足禁止なので、ここに靴を預けてから中に入りましょう。開け放たれた木の扉にはベルが付いており、チリン、という涼やかな音を響かせてから中に入る信者もいます。
スリ・ヴィラマカリアマン寺院の塔門

スリ・ヴィラマカリアマン寺院の塔門

入り口右手の靴を脱ぐ場所

入り口右手の靴を脱ぐ場所

ベルが付いた重厚な木の扉

ベルが付いた重厚な木の扉

注意しなくてはならないのは、寺院の開門時間。早朝の5時30分から12時15分と、16時から21時までの二部に分かれています。午後は4時間近く開いていないので、気をつけましょう。8時、正午、18時30分、21時には、「プジャ」と言われる祈りの儀式があります。上半身裸の僧侶たちが銅鑼を鳴らしながら祈りを捧げ、信者たちが花や果物などの供物を神々に奉る様子は、たいへん神秘的。この時間にリトルインディアを訪れたら、必見です。
寺院の広間で祈りを捧げる信者たち

寺院の広間で祈りを捧げる信者たち

女神カーリーの祭壇に立つ僧侶

女神カーリーの祭壇に立つ僧侶

黄色い僧衣の僧侶が花を渡します。

黄色い僧衣の僧侶が花を渡します。

女神カーリーを祀る祈祷の広間

寺院の広間に入ると正面に3つの祭壇が見えます。中央には女神カーリー、左にはゾウの頭に人間の体を持つガネーシャ、右には軍神ムルガンが祀られています。祭壇の中にいるカーリーは、お供え物の花飾りをまとっていて可憐な様子。しかし実際には殺戮と破壊の女神様なので、その姿の特徴は強烈です。カーリーには「黒」という意味があり、彼女の肌の色は黒。しかしヒンドゥー教では黒は不浄の色なので、黒い肌を表すときは青色を使います。口からは小さな牙がはみ出ており、目は血の赤色。10本の手には様々な武器を持ち、生首や髑髏のネックレスを首にかけているとされています。正面祭壇の右側に、青い肌に口から牙をはみ出させたカーリーの立像がいるので、ぜひご覧ください。なお、祭壇の左側にいる立像は、ヒンドゥー教の三最高神の1人であるシヴァです。子鬼を踏みつけて踊る姿は「ナタラージャ」(踊りの王)と呼ばれています。
中央のカーリーの祭壇に祈る人々

中央のカーリーの祭壇に祈る人々

左の祭壇の上にいるガネーシャ像

左の祭壇の上にいるガネーシャ像

右の祭壇の上にいる軍神ムルガン像

右の祭壇の上にいる軍神ムルガン像

祭壇の右側に立つ、女神カーリーの像

祭壇の右側に立つ、女神カーリーの像

祭壇の左側にいる、踊るシヴァの像

祭壇の左側にいる、踊るシヴァの像

屋根の上は神様でいっぱい! 女神カーリーを探してみましょう

祈祷の広間を見たら、屋外に出て華麗な寺院の外観を眺めてみましょう。コンクリート敷きの庭も、靴を脱いだままで拝観します。寺院の北西部にまわると、3つのドームが連なった屋根の上は、極彩色のインド神話の世界。祈祷の広間の祭壇に対応するように、中央は女神カーリー、向かって右側はガネーシャ、左側はムルガンを中心とした神々の彫像で彩られています。特に目立つのは、中央の屋根の右側にいる女神カーリー。髑髏のネックレスを着けて手には様々な武器を持ち、切り取られた手や生首を腰巻きにしているという強烈な姿です。ひとめ見たら忘れられないこの寺院の主神を、ぜひチェックしてください。
3つの屋根の中央部、右側に女神カーリーがいます。

3つの屋根の中央部、右側に女神カーリーがいます。

髑髏のネックレスを着けて生首を持ち、舌を出すカーリー像

髑髏のネックレスを着けて生首を持ち、舌を出すカーリー像

右側の屋根にいるゾウの頭のガネーシャは、富と学問を司る神様。よく見ると右側の牙が折れていて、手にはその牙を持っています。月夜の晩に満腹で歩いていたガネーシャが、道で転んだところをお月様に笑われたため、自ら牙を折って月に投げつけた、という説が有名です。そしてインドの壮大な叙事詩「マハーバーラタ」は、ガネーシャが折れた牙をペンにして書いたもの(!)だと言われています。折れた牙はガネーシャの知性の象徴で、そのため彼は学問を司る神様として崇められているのです。
左側の屋根にいるムルガンは、戦いを司る軍神。生後たった4日で雷を司る神インドラから軍神の地位をもらったという、圧倒的な強さを持つ神です。孔雀を従えて、てっぺんがスペードのような形の長い槍を持っていることが特徴。少年の神様なので、他の神々の彫像よりも、溌剌とした印象が強い姿です。
右の屋根にいるガネーシャ。手に折れた牙を持っています。

右の屋根にいるガネーシャ。手に折れた牙を持っています。

左の屋根にいるムルガン。槍を持ち、孔雀を従えています。

左の屋根にいるムルガン。槍を持ち、孔雀を従えています。

見ただけで震え上がる、壮絶な女神のお堂

寺院の西南側には、壮絶な女神のお堂があります。この女神の名前はペリヤッチ。女性のお腹を裂いて内臓を暴き、口からは血をしたたらせ、両足で男性を踏みつけているというものすごい姿の女神様です。お堂の内部と屋根の上に、強烈なインパクトのペリヤッチの像があります。彼女のこの姿は、パンドヤ王国の暴君にまつわる伝説に由来するもの。この王様の妃が出産するとき、「赤児が大地に触れたら地球が滅びる」と予言されていましたが、助産婦を務めたペリヤッチは首尾良くお産を助けて赤児が大地に触れることを防ぎました。しかし王はペリヤッチに賃金を支払わなかったため、怒った彼女は王を踏みつけにして殺し、王妃のお腹を引き裂いて内臓を食べてしまったのです。実は彼女、悪魔からさえも崇められている苛烈な女神だったのです・・・。こんなエピソードを持つペリヤッチは大地の守護神であり、子供の守護神であるとされています。そして彼女の激烈な姿は、悪霊を追い払うと言われているそう。確かに邪悪な霊たちも逃げ出しそうなお姿ですよね。
お堂の屋根にいる女神ペリヤッチの像。怖い!

お堂の屋根にいる女神ペリヤッチの像。怖い!

お堂の中にいるペリヤッチ。口から血を滴らせています。

お堂の中にいるペリヤッチ。口から血を滴らせています。

寺院の外から眺める彫刻も迫力

寺院の内部の見学を終えたら、外側からも華麗な彫像を眺めてみましょう。空へ向かってそびえるゴープラムを改めて見ると、中央の目立つ位置にライオンの背にまたがった女神の彫像があります。彼女は戦いの女神ドゥルガー。手には三叉戟や剣などのさまざまな武器を持っています。実はこの寺院の主神カーリーは、ドゥルガーから激しさや残酷さを凝集して生み出された分身とされています。だから寺院の顔ともいえるゴープラムの中央に、本体の女神ドゥルガーの彫像があるんですね。ゴープラムの左の壁の上や、寺院の西南側の外壁ごしに見える屋根(ペリヤッチのお堂の裏側)にも、ライオンの背にまたがり、長い槍を持って戦うドゥルガーの彫像があります。インド神話の女神様は強い!
ゴープラムの中央の女神ドゥルガー像

ゴープラムの中央の女神ドゥルガー像

ゴープラムの左の壁のドゥルガー

ゴープラムの左の壁のドゥルガー

寺院南西部の壁越しに見るドゥルガー

寺院南西部の壁越しに見るドゥルガー

色鮮やかな神々の彫像でいっぱいのスリ・ヴィラマカリアマン寺院では、いつもたくさんのインド系の人々が祈りを捧げています。信者の方のお祈りを妨げないよう注意を払いながら、インド神話の世界に思いを馳せてみてくださいね。以上、シンガポールナビでした。
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記事登録日:2011-08-30

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スポット登録日:2010-07-05

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セラングーン・ロード

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