スリ・マリアマン寺院

スリ・マリアマン・テンプルSri Mariamman Temple

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チャイナタウンのど真ん中に建つ極彩色のヒンドゥー教寺院。精緻な彫像のひとつひとつが、神話を語りかけてきそう。

こんにちは、シンガポールナビです。今日はシンガポール最古のヒンドゥー教寺院、スリ・マリアマン寺院についてご紹介します。なぜかチャイナタウンのド真ん中にあるこちらの寺院は、極彩色に塗られた南インドのドラヴィダ様式。南印の地母神である女神「マリアマン」を祀り、マリアマンの持つ病気に対する治癒力を求めて、多くの信者が訪れます。寺院の塔門(写真左)や屋根には、ヒンドゥー教の神々が隙間無く彫り込まれ、その鮮やかな姿はまるで生きた神話。ひとつひとつ見つめていると日が暮れそうになります。見るべきポイントをしぼりこんで、ぜひその魅力に触れてみてください。

「パゴダ・ストリート」の名前の由来となった塔門

パゴダ・ストリートの標識と、寺院の壁に座る聖牛の彫像

パゴダ・ストリートの標識と、寺院の壁に座る聖牛の彫像

スリ・マリアマン寺院は1827年、この地に建設されました。現在はチャイナタウンの中心部に当たりますが、19世紀半ばまではこの近辺には多くのインド人が住んでいたそうです。その後、寺院は拡張を続け、1903年には玄関部分に高い塔門を持つに至ります。この寺院があるパゴダ・ストリートの、「パゴダ(仏塔)」という名前は、空に向かってそびえ立つこの塔門に由来しているのだそう。もっとも、ヒンドゥー教寺院の塔門は、実は「ゴープラム」と呼ばれているので、厳密には間違っているんですが・・・。色鮮やかな塔門には、ヒンドゥー神話の神々がびっしり彫り込まれています。玄関のすぐ上の部分には2頭の象に囲まれた女神ラクシュミーが、2段目と3段目にはヒンドゥー教の三最高神の1人、破壊神シヴァの姿が見えます。

入り口の左脇には木の靴箱があります。ヒンドゥー教寺院は土足禁止なので、ここに履き物を預けてから、重厚な木の扉の玄関をくぐってみましょう。寺院の入場料は無料ですが、写真撮影を希望する見学者は、扉を抜けて左手にあるチケット販売所で3 Sドルを払う必要があります(ビデオ撮影料は6 Sドル ※料金は2011年6月現在)。
空に向かってそびえる15mの塔門

空に向かってそびえる15mの塔門

入り口の左側に靴箱があります。

入り口の左側に靴箱があります。

ベルのついた重厚な玄関ドア

ベルのついた重厚な玄関ドア

玄関のすぐ上に鎮座する、象を従えた女神ラクシュミー

玄関のすぐ上に鎮座する、象を従えた女神ラクシュミー

塔門の二段目と三段目の、左右に並ぶ破壊神シヴァ

塔門の二段目と三段目の、左右に並ぶ破壊神シヴァ

華麗な祈祷の広間

白い柱が並ぶ祈祷の広間に入ると、色鮮やかな神々の彫像や曼荼羅の描かれた天井に圧倒されます。まず目に入ってくるのは、鴨居の上で迎えてくれるパールヴァティー、サラスヴァティー、ラクシュミーら3人の女神たちの彫像。その奥に、この寺院の主神である女神マリアマンを祀った礼拝堂があります。信者以外はその先には進んではいけないので、遠くからじっくり拝見。ドーム型の天井の奥に鎮座する、琵琶に似た楽器を持つサラスヴァティー像のさらに奥に、マリアマンの祀られた扉があります。ドーム天井の左右にも明るい色彩のヒンドゥーの神々が描かれており、なんとも華やかです。
女神たちの彫像と天井の曼荼羅

女神たちの彫像と天井の曼荼羅

奥の扉の中がマリアマンを祀る場所

奥の扉の中がマリアマンを祀る場所

白い柱の祈祷の広間と鮮やかな天井

白い柱の祈祷の広間と鮮やかな天井

屋根に広がる神々の世界~クリシュナやガネーシャをチェック!

祈祷の広間の後は、屋外に出て寺院の外観を見てみましょう。庭はコンクリート敷きになっており、屋外でも靴は脱いだままで見学します。祈祷の広間の右側から外に出ると、極彩色の屋根の上には神話の世界が広がっています。無数に彫り込まれた神々の彫像は、生き生きしていて今にも動き出しそう。ヒンドゥー神話では「三日月の髪飾りを付けているのが破壊神シヴァ」「蓮の花の上に座り、両手に蓮の花を持っているのが女神ラクシュミー」など神様を見分けるポイントがあるのですが、神々の種類が多い上に、それぞれの神の化身もたくさん存在するので、一目で探り当てるのがなかなか難しいのです。ここではそんな神様たちの中でも見分けやすい、「クリシュナ」と「ガネーシャ」の彫像をチェックしてみましょう。
屋根の上に無数に載っているヒンドゥー神話の神々

屋根の上に無数に載っているヒンドゥー神話の神々

色鮮やかな神々の彫像が、今にも動き出しそう。

色鮮やかな神々の彫像が、今にも動き出しそう。

塔門を背にして右側の壁の屋根に、笛を手にして孔雀の羽のついた冠をかぶった、青い肌の青年像がいます。彼は美青年の神様として有名なクリシュナ。実はヒンドゥー教の三最高神の一人、ヴィシュヌの化身です。そのため、額にヴィシュヌに連なるものであることを意味する「U」の字のマークが付いています。美貌で笛の名手のクリシュナは女性にモテモテ。数々の恋愛譚があり、インドでは非常に人気の高い神様です。ちなみにクリシュナの肌の青色は、実際には黒であることを表しています。ヒンドゥー教では黒は不浄の色なので、黒い肌を表すときは青色を使うんですって。これは他の神様も同じです。なお、右奥にある小さなお堂にも、屋根の上に笛を吹くクリシュナ像がいますよ。
笛を手にした美青年の神様、クリシュナ

笛を手にした美青年の神様、クリシュナ

お堂の上にも白い牛とともに立つクリシュナがいます。

お堂の上にも白い牛とともに立つクリシュナがいます。

塔門を背にして左奥を見ると、クリシュナ像のいる小さなお堂と左右対称の位置に、ゾウの頭に人の体の彫像が載ったお堂があります。これは富と学問を司る神、ガネーシャ。シヴァとその妻のパールヴァティーの息子でありながら、シヴァの怒りを買って頭を切り落とされ、我に返ったシヴァの手で通りがかりのゾウの頭を付けられて生き返った・・・という数奇な経緯を持つ神様です。よく見ると右の牙が折れており、お堂の廊下の屋根にいるガネーシャ像は、自分の手で牙を持っています。夜道で転んだときに月に笑われたため、自ら牙を折って月に投げつけた・・・という説をはじめ、いろいろな逸話があります。ユーモラスな姿と伝説に満ちた神様を、ぜひご覧あれ。
ゾウの頭の神様ガネーシャ。右手に牙を持っています。

ゾウの頭の神様ガネーシャ。右手に牙を持っています。

お堂の屋根と壁にいるガネーシャ像。

お堂の屋根と壁にいるガネーシャ像。

女神マリアマンを探してみよう

次はこの寺院の主神、女神マリアマンを探してみましょう。マリアマンは病気、特に天然痘のような死病をつかさどる女神で、彼女に祈りを捧げることで病を祓うことができると信じられています。マリアマンは赤い服を着た美女で、手には三叉戟と小鉢を持っているのが慣例。寺院本堂の最奥、ちょうどマリアマンの礼拝堂がある部分の壁の三面に、女神マリアマンの彫像が一体ずつ鎮座しています。二面のマリアマンは赤いサリー、一面のマリアマンは緑のサリーをまとった姿。美しい女神像を眺めながら、健康をお祈りしておきましょう。
寺院本堂の最奥の壁に鎮座する女神マリアマン

寺院本堂の最奥の壁に鎮座する女神マリアマン

病を祓う女神。手には三叉戟や小鉢を持っています。

病を祓う女神。手には三叉戟や小鉢を持っています。

マリアマン像が並ぶ場所の隣の一角(塔門に向かって右側)には、世界を維持する神ヴィシュヌが鎮座しています。青い肌のビシュヌは、法螺貝の貝殻を持っており、これを吹き鳴らすと悪魔が震え上がるという逸話があります。ヴィシュヌの乗り物は神鳥ガルーダ。人間の胴体と鷲の頭や翼、爪を持った鳥として知られています。時に人間に翼が生えた姿で描かれることもあり、この一角にも、翼を生やした髭の男性として作られたガルーダ像が座っています。ちょっと天使を思い起こさせるような姿のガルーダです。
法螺貝を持つビシュヌ像は世界を維持する神

法螺貝を持つビシュヌ像は世界を維持する神

人間に翼が映えた姿のガルーダ像

人間に翼が映えた姿のガルーダ像

お祭りのデコレーションで彩られる寺院

ヒンドゥー教の新年のお祝いは10月から11月頃にかけて行われ、ディーパパリ(ディーワーリー)と呼ばれます。もとは「光の祭典」を意味する言葉で、この時期のリトルインディアなどはライトアップでキラキラ。スリ・マリアマン寺院では、この祝祭期間の一週間ほど前に、火渡りの儀式「ティミディ」が行われます。この時期の寺院には、ヤシの葉や花でデコレーションが施され、普段以上の華やかさ。この期間にシンガポールに来る人は、ぜひお立ち寄りください。
塔門の下を彩るヤシの木の飾り

塔門の下を彩るヤシの木の飾り

すだれ状の飾りが下がる祈祷の広間

すだれ状の飾りが下がる祈祷の広間

花と葉の吊り飾りが愛らしい。

花と葉の吊り飾りが愛らしい。


ただ見るだけでも、鮮やかさに魂を奪われるようなスリ・マリアマン寺院。ヒンドゥー教の神々の特徴をちょっと頭に置きながら眺めると、さらに楽しい時間になります。神秘的なインドの神話の世界を、ゆっくり味わってくださいね。以上、シンガポールナビでした。
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記事登録日:2011-07-05

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2010-07-20

スポット更新日:2011-07-05

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